220鉄道キャンペーンポスターから読み取る旅行イメージに関する研究

周 シュ唯(北海道大学国際広報メディア・観光学院)

要旨:1970年代のディスカバージャパンは日本全国的でブームになり、国鉄のイメージが刷新された。数多くの目的地を観光化に導いたとも言われる。経済高度成長期という時代的な背景のもとで、団体旅行から個人旅行の傾向も見られ、新しい旅行の形式が提示されたと言われる。鉄道の旅だけではなく、社会全体に大きなインパクトを与えていた 。一方で、JRグループを含む鉄道会社も新たな鉄道キャンペーンを開催し続けている。本研究は、ディスカバージャパン時代と今の時代における旅行のイメージを鉄道キャンペーンから読み取る。鉄道を主役とする旅は人々にどんな価値を提供し、そこから社会的文脈における旅行に対する意識がどのように変化しているのかを明らかにすることを目的とする。

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220鉄道キャンペーンポスターから読み取る旅行イメージに関する研究」への8件のフィードバック

  1. 北海道教育大学の村上と申します。面白い視点だと思う一方で、理解できていないところがあるかもしれないので、教えてください。

    基本的なことからになりますが、DJキャンペーンとDCキャンペーンというのは別のものなんですよね?

    だとすると、
    (1)両キャンペーンはどういう関係にあるのでしょうか?(例えばDJキャンペーンの一部をDCが引き継いでいるのか?)

    また、DJは既に終了していてDCは継続しているということで、よろしいでしょうか。DJは終了していて既に分析もされているので、今回、DJを分析してみようということでよいでしょうか。

    その場合に、
    (2)なぜ2010年と2021年だけを抽出するのか(その意義)が、
    よくわからないので教えていただけないでしょうか。

    • 村上さん
      ご質問ありがとうございます。
      DC[1978-今]とDJ[1970-1976]は両方とも日本全国範囲内で国鉄・JRが主催者となるキャンペーンで、接続の部分はありますが、文献から見るとおそらく引き継いた関係ではないと考えております。
      2010年から2021までの計114枚のポスターを研究対象にしています。今の段階はまだデータを整理しているところなので、これから考察していきたいと存じます。
      よろしくお願いいたします。

  2. 鉄道を主役とする旅の価値、意識がどのように変化しているのかを明らかにするのにDC,DJに着目したことに興味深く感じました。
    既に予想させる結論が書かれていますが、「①匿名性の消失」「④ホスト側のという状の増加」の変化はどのような背景があって起きたとお考えでしょうか?

    • 篠宮様
      ご質問ありがとうございます。実はそこは悩んでいるところであり、今の段階は情報化社会と地域行政・観光協会という2つの点しか想定できませんが、これからさらに考察を行いたいと考えております。そこについて、もしご意見をいただければ幸いです。
      よろしくお願いします。

  3. 面白い視点ですね。
    ただ、観光ポスターは、どのデザイナーを起用するかでメッセージ性が大きく変わってきます。対象とするポスターが少ないとブレが大きくなってしまうことを危惧します。大変でしょうが、もう少し連続的な時系列と数を増やして比較したらいいデータが得られるのではないでしょうか。
    DJ初期に取り上げられた素材には、景観生態学ともいえる視点で作られているものがたくさんあったように思います。

    • 坂本様
      ご質問ありがとうございます。連続的な時系列と数を増した方は確かにより説得力があります。これからできる範囲にデータを充実し分析を行いたいと思っております。
      また、景観生態学とDJの関連についての視点についてはあまり触れたことがなかったんですが、もう少し詳しく教えていただけないでしょうか。

  4. 北海道大学の桑村と申します。鉄道での旅行について、ポスターという視点に着目し意識の変化を調査する点が興味深いと感じました。
    以下、質問させていただきます。予想させる結論内の「日本人のアイデンティティーを再発見するコンセプト」について、外国人観光客向けに日本らしさを提示する、という点でのコンセプトとしても考えられるのではないかと感じました。ですので、昨今のコロナ禍により観光客層の変化も見られ、先述のコンセプトも大きく変化したのではないかと感じます。この研究ではコロナ禍での情勢の変化も考慮に入れているのでしょうか?また、そのようであれば、ポスターにどのような変化がみられているのか気になったため、教えて頂ければ幸いです。

    • 桑村様
      ご質問ありがとうございます。
      「日本人のアイデンティティーを再発見する」をDJキャンペーンに関する先行文献からお借りしていた言葉で、DCとの共通点だと考えておりましす。確かにこの10年間に、外国人観光客向けの発信も重視されて来ましたが、ただ、今の段階で集めていたポスターからコロナ禍での情勢の変化は顕著ではないと思います。これから観光客層の変化の視点からも考察していきます。貴重なご意見ありがとうございます。
      また、今年東北DCのHPでポスターやデザイナーの話も記載されていますので、もし興味があればご覧にいただければと思います。
      https://dc.tohokukanko.jp/poster/
      よろしくお願いします。

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