孔 令士(北海道大学国際広報メディア・観光学院)
要旨:中国の現状からみると、多くの都市は、画一的なまちづくりにより、都市の個性が失われている。良好な景観の形成を進めるためには、その地域の「地域らしさ」を把握することが重要である。本研究では、中国ハルビン市に位置する「中華バロック」歴史市街地を事例として、「地域らしさ」を感じさせる街路景観の特徴に対し、地域住民が持つ印象を把握することを目的とする。「地域らしさ」が観光創造で活用でき、さらに中華バロック歴史街区の魅力をアピールすることが期待される。
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中華バロックをキーワードに「地域らしさ」を把握することは地域の保全と活用に重要な視点だと思いました。
本研究の中で、「地域における景観計画の方向性とのギャップ」(今後の研究)とありますが、この景観計画おいては「地域らしさ」「中華バロック」はどのように捉えられているのでしょうか?
また、この景観計画では何が問題(ギャップ)として想定されるのでしょうか?
ご質問ありがとうございます。
先行研究と現地調査によると、2012年「中華バロック歴史街区改造二期工程」が完成しましたが、この景観計画は主に歴史建築のファサードを中心に実施しました。街区の運営が進む中で、街灯などのインフラのスタイルが異なり、各店舗の風格がそれぞれであり、街区の雰囲気が調和できず、伝統的な生活風貌が消えてしまいました。現状からみると、この景観計画では、「地域らしさ」を捉えることが不十分な問題が存在します。
以上、よろしくお願いいたします。
物流拠点として栄えたハルビンの歴史の中で誕生した中華バロック建築群を対象とした地域景観の興味深い研究です。
歴史的建築資源を地域らしい景観構成要素として捉え、保存・活用していく様は、身近なところでは小樽運河地域に似ているのではないでしょうか。
観光資源として着目され始めた中華バロック建築らしさが明確になると、今後の地域景観の保全や創造のためのルール作りに役立つと思います。
ご質問ありがとうございます。
確かに、歴史的背景の角度から検討すれば、小樽運河地域に似ていますが、建築の様式とコンセプトは函館の擬洋風建築の方に近寄っています。ですから、おっしゃった通りに、これらの地域景観に関する保存・活用の事例から参考できるポイントが確実にあると思います。