212 地方都市への移住・定住を促進する地域資源を活用した趣味の可能性

菅原 大地(室蘭工業大学工学部)

要旨:近年,地方都市においては,人口流出による人口減少問題を解決するために,独自性の高い地域資源を活用し,他地域との差別化を図る新たな観点から移住・定住を促進する必要がある。他方で,近年では労働環境の改善等により増えたプライベート時間を趣味にあてる動きが高まっており,趣味が移住・定住の意思決定にも影響を及ぼしてくると推測できる。したがって,今後,地方都市においては,地域資源を活用した趣味が移住・定住を促進させることも期待される。そこで本研究では,地域資源を活用した趣味が移住・定住の意思決定に及ぼす影響を明らかにし,地方都市における人口減少問題の解決を見据えた趣味の役割を検討することを目的とする。

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212 地方都市への移住・定住を促進する地域資源を活用した趣味の可能性」への11件のフィードバック

  1. ポスター発表ありがとうございます。
    「趣味」はかなり広い概念と思いますが、趣味に活用できる「地域資源」も有形無形の幅広いものと思われます。ここでいう「地域資源」はどのように定義さますか?

    • ご質問ありがとうございます。
      本研究においては生活の中での必要最低限の睡眠や食事,通勤時間や仕事時間などの活動時間を除いた時間を余暇と定義づけ,その余暇の中で本人が望んで行う行動を趣味と定義しております。また,趣味に活用できる地域資源としましては,その趣味を行う上で関わりのある「もの」や「場所(空間)」に加え「人」についても地域資源として捉えています。
      「もの」は具体的に,飲食系の趣味(カフェ巡り等)を行う場合,その地域特有の食などが該当し,「場所(空間)」は趣味を行う場として具体的には屋外系の趣味(登山等)を行う場合,その地域の山などの自然資源が該当します。さらに,「人」として,スポーツであればその対戦相手等も考えられますし,さらに趣味をテーマとしたコミュニティ等やその地域に根付く文化などの無形資源も地域資源と想定しています。

      • ご教示ありがとうございます。
        文化や文化芸術に含まれる概念のように思いました。地域資源はもの、場所、人ということですから、(重要度は問わない)文化財に近い概念かもしれません。いずれにしても、定義を明確にして、調査研究を進めることが重要と思います。

    • ご質問ありがとうございます。
      現在,まだアンケート調査を未実施なため具体的なサンプル数はございません。

  2. 新型コロナウィルスの影響でリモートワークが定着しつつある中、デュアルライフ(二拠点生活)のマーケティングにも活かせそうな研究テーマかと思います。デュアルライフ実行者も趣味に起因する移住が多いようです。
    また、デュアルライフの場合、特に趣味とリンクしなくても「山の中で静かに過ごしたい」「海を見ながら過ごしたい」という趣向が要因となるケースが多いと聞きますので、アンケートやヒアリングでは趣味・趣向で動機が拾えるようにできると汎用性が広がると感じました。

    • 貴重なご意見、ありがとうございます。
      本研究では,移住の意思決定に寄与する趣味に着目し,選定を行うことでその趣味群に分類される趣味を行う人は生活の中での趣味を重要視する傾向がみられ(具体的には,生活の中でその趣味に対しお金や時間を多くかけているなど),そのような人は移住を行う際,趣味を考慮するのではないかという想定の下研究を行っております。
      移住のきっかけに関しては,今の環境を変えたいと思っている人や自分の好きなこと(夢の実現)を生かしたいと考えている人などの自発的に移住を行う人が対象になると考えておりました。その中でデュアルライフという観点を教えていただきありがとうございます。今後,移住を促進する上でその対象や具体的な移住想定を行っていく中では,そのような観点も踏まえ,アンケート調査項目を作成していきたいと思います。

  3. 地方都市の人口減少問題を趣味を視点に取り組む興味深い研究だと思いました。
    アンケート項目の「趣味の波及効果」はどのようなものを想定しているのでしょうか?(本人、関係者、受け入れた組織などによって実感している効果に違いがあるのあではないかと考えました。)

    • ご質問ありがとうございます。
      ここでの趣味の波及効果とは「趣味を行う本人が趣味によって感じている効果」のことを指しています。具体的には、ゲームやスポーツを行うことによってストレス発散を感じている人や自然との触れ合うことによってリラクゼーションを感じている人などを想定しています。

  4. ご発表ありがとうございます。東京農業大学造園科学科 阿部伸太です。大事な視点かと思います。「趣味」の抽出をどのようにされているかが気になりました。確かにサーフィンが売りの地域かもしれませんが、私、ドライブ好きからすると、ドライブやツーリングというのもあるかもしれないとも感じました。

    • ご質問ありがとうございます。
      趣味の抽出に関しましては,まずアンケート調査にて「趣味を生活の中で重要視している人」を抽出します。方法としましては現在検討中ですが実際に趣味を生活の中でどれくらい重要視しているのかを聞く方法やかけている労力(お金や時間等)を基準にして探し出す方法などを検討しています。その上でその方の趣味に着目し,生活の重要度が高い趣味として抽出とする予定です。
      中にはドライブやツーリングのように広範囲において行う趣味というものも存在すると考えておりますが,ドライブも目的地として北海道ではオロロンライン(道路)や地球岬(展望台)などの地域資源(ランドマーク)が挙がることが予想しており,その面では移住・定住に寄与する趣味となるのではないかと思います。今後は他のご質問にもありましたように移住のきっかけなどにも注目しアンケート調査を行っていきますが,ドライブのような走行すること自体が趣味行動となるものの扱いも検討していきます。

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