224北海道南部における海浜周辺の都市化とハマヒルガオ訪花昆虫群集の関係

川野 勇樹北海道教育大学函館校教育学部国際地域学科)ほか

要旨:ハマヒルガオ(ヒルガオ科)は自家不和合性であり、訪花昆虫に種子生産を依存している。本研究では、ハマヒルガオの訪花昆虫群集を調査し、海浜周囲の土地利用や都市化との関係を考察することを目的に研究を行った。海浜周囲の都市化の程度が異なる函館市近郊の3箇所の海浜において、6月半ばから7月半ばにかけて訪花昆虫を調査した。現時点では未同定個体もあるが、27種の訪花昆虫が記録されており、全3箇所で記録された種はセイヨウオオマルハナバチ(外来種)及びエゾコマルハナバチ(在来種)であった。また、各地点でしか確認できていない種も複数存在した。今後、更に種の同定及び分析を進めて、都市化とその関係について考察する。

注意! 発表資料を無断でコピー、転載しないでください。スクリーンショットもご遠慮ください。

このエントリーをはてなブックマークに追加

224北海道南部における海浜周辺の都市化とハマヒルガオ訪花昆虫群集の関係」への6件のフィードバック

  1. 海浜周辺の都市化を訪花性昆虫を使って評価した興味深い研究だと感じました。以下、3点質問があります。

    ①方法で定量と定性調査がありますが、表2と図2は定性調査のみで作成できるようにおもえます。2つの調査の違いを教えてください。

    ②訪花性昆虫は、花の形状などの種類に依存しないのでしょうか?実際に利用しているかは調査されておりますでしょうか?

    ③七重浜と上磯の都市の割合は同様ですが、種数が異なる理由はありますでしょうか?

    • ご質問ありがとうございます。

      ①おっしゃる通りです。表2、図2ともに定性調査の結果を基に作成しております。「都市化かが進めば個体数・種数が少なくなるのではないか」という仮定のもとで調査を行っておりますので、定性調査には種数を特定する意味があり、定量調査には個体数を特定する意味があります。

      ②食害(ナメクジやその他の昆虫などが花弁を食べてしまうこと)の被害を受けているハマヒルガオの個体が少数であったため、花弁の形状に着目した調査は行っておりません。

      ③七重浜と上磯の種数が異なる理由も調査中です。現段階では、上磯には発達した河畔林や空き地が存在している可能性が高いことに対し、七重浜にはそういった場所が存在する可能性が低いため、種数に差が生じたと考えております。

  2. 今回、個体数のデータを出されていないとのことですが、調査してみて、種数の最も多かった上磯では個体数も多く見られたのでしょうか?上磯は群落面積が他の調査区の倍ほどあるので、「資源量の多い調査区に多くの種・個体が見られた」という見方もできるように思いました。

    • コメントありがとうございます。

      種数が多かった上磯ですが、個体数はその他の調査地とさほど差がないです。

      未同定個体もいるのですが、未同定個体を含めてしまうと七重浜が最も個体数が多い結果となってしまいます。

  3. セイヨウオオマルハナバチは特定外来生物です。
    将来は絶滅させなけれまなりません。
    セイヨウオオマルハナバチが確認されたというだけでなく、在来の生態系に与える影響についても評価してほしいところです。

    • コメントありがとうございます。

      セイヨウオオマルハナバチは特定外来生物ではありますが、訪花の様子を観察しましたところ、ハマヒルガオにおける盗蜜の様子は観察できませんでした。

      捕獲した後、種の同定を行った際にも体表には花粉らしきものが付着していたため、ハマヒルガオにおける訪花昆虫としては有効な種であると判断いたしました。

      セイヨウオオマルハナバチによる在来の生態系に与える影響に関しましては、今後調査させていただきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です