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2021年度北海道支部大会 口頭発表・ポスター発表審査結果
2021年度北海道支部大会 口頭発表・ポスター発表審査結果
一般部門
■ 審査概要
一般部門は口頭発表1件、ポスター発表2件の発表がありました。
着眼点、問題意識、社会性、実用性・応用性、適時性等の観点から審査を行いました。
■ 全体的な講評
今年度は、市街地内の街路樹の景観評価に関するテーマ、沿道の草本管理手法に関するテーマ、コロナ禍における公園運営に関するテーマなど、みどりの管理・運営にかかわる研究発表がありました。審査の結果、優れた発表と評価された1件にポスター発表優秀賞を授与します。
ポスター発表優秀賞(1件)
大工 秀樹(札幌開発建設部 国営滝野すずらん丘陵公園事務所)、ほか3名
「国営滝野すずらん丘陵公園のコロナ禍における管理運営について」
コロナ禍における公園の管理運営に関するテーマ発表です。
昨年2月からの緊急事態宣言の発令・解除の動きに合わせ、利用者の受け入れ対応をどのように行ってきたのか時系列にまとめた上で、入園者数の変動を把握しています。さらにモニタリング調査を通じてコロナ禍前後の来園者属性(年齢、集団、居住地)や満足度の変化を解明し、コロナ禍における公園運営のあり方について考察しています。
研究テーマ設定は適時性が高く、かつ研究成果は今後の公園運営に広く援用しうる実用性・応用性の高い知見を有しており、優秀賞にふさわしい発表と評価されます。
学生部門
■審査概要
- 学生の口頭発表は6件,ポスター発表は24件の応募がありました。
- 「新規性」「論理性」「表現力」「質疑応答」の4点について審査員7名(口頭発表3名,ポスター発表4名)による審査を行いました。
■全体的な講評
・口頭発表:
新規性や独創性に富んだ意欲的な研究が多く,造園学の発展に寄与できる発表でした。今年度は,昨年度に引き続きインターネットを介した口頭発表セッションとなりましたが,多くの学生が,はきはきとしたプレゼンテーションを行っていたことが印象的でした。
今年度は,総合的に優れていると判断した発表は残念ながらありませんでしたが,着眼点,論理性や質疑応答が優れていた2件に口頭発表奨励賞を授与します。
・ポスター発表:
今年度のポスター発表は,事前審査としてWebサイト上でのファイル掲載とコメントの書き込みによる質疑応答を実施し,加えて大会当日のオンライン発表の二段階で実施しました。大学での演習課題や卒業研究の中間報告が大半を占めましたが,地域課題や新たな社会ニーズに着目し取り組んでいるもの,感性豊かな発想を生かして意欲的に取り組んでいるものがみられ,今後の展開に期待が持てる発表が多い印象でした。
以上を踏まえ,特に表現力と質疑応答が高評価で,総合的に優れていると判断した2名にポスター発表優秀賞,着眼点及び今後の発展に期待が寄せられた2名にポスター発表奨励賞を授与します。
口頭発表奨励賞(2名)
伊藤 瑠海(いとう るみ)さん(北海道大学大学院農学院)ほか5名
「COVID-19の流行が国立公園利用者の混雑感に与える影響」
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する意識の差異が,観光地での混雑感に及ぼす影響を明らかにしようとした研究です。きわめて話題性が高い研究テーマであり,ウェブと現地の双方でアンケート調査に取り組んで優れた分析を行っていたこと及び明快で的確な質疑応答ができていたことなどが高く評価されました。
千葉 利久(ちば りく)さん(北海道大学大学院農学院)ほか1名
「野鳥への餌付けが人と野鳥との距離に及ぼす影響」
野鳥が人間に対して保つ距離に着目し,緑地での餌付けが野鳥の行動に及ぼす影響を明らかにしようとした研究です。優れた着眼点があり,繰り返しフィールドワークを行ってデータを収集していたこと,提示された図表が理解されやすいように工夫されていたこと及び的確な質疑応答ができていたことなどが高く評価されました。
ポスター発表優秀賞(2名)
能戸 紫月(のと しづき)さん(札幌市立大学デザイン学部)
「der wald」
直感的に理解しやすいレイアウト構成になっており,童話をモチーフにした遊歩道のアイディア,絵本のような描画のタッチも含め,ポスターとしての訴求力,構成力が高く評価されました。またWeb上での事前審査,オンラインでの当日審査ともに適切な質疑応答ができており,ポスター発表としての総合的なバランスが高く評価されました。
葛西 芳枝(かさい はなえ)さん(室蘭工業大学工学部)
「高校生の地域に対する意識変化を促す地域課題解決型学習の方向性に関する研究」
改めて地域を見直す視点,広範な課題に対して具体的な取組みイメージが見出しやすかった点が評価されました。またポスターとしてのレイアウト構成も分かりやすく整理されており,卒業研究の中間報告ということもありますが,有意義な発展性を感じられるテーマと,ポスターとしての表現力,的確な質疑応答が高く評価されました。
ポスター発表奨励賞(2名)
来田 玲子(くるた れいこ)さん(札幌市立大学デザイン学部)
「憶えゆく森 ー心は想う、身体は感じるー」
独創性のある世界観がポスターとして丁寧にまとめられていました。時の流れや記憶といったコンセプトが絵本のような描画のタッチにより表現され,遊歩道で展開されるそれぞれのシーンの理解を深めています。質疑応答についても的確に回答されており,ポスターの表現力とともに評価されました。
池田 瞬哉(いけだ しゅんすけ)さん(北海道教育大学(函館校)国際地域学科)ほか2名
「路面間隙に海崖生植物群落は成立するか?」
海崖生植物を含む海岸植物の多くは海岸という特異な環境に生育するため,各都道府県のレッドデータブックに記載されることも多く,このような希少な植物を保全する目的で,人工構造物や路面間隙が生育地となりうるのかという問いに対して,調査・解析をした有意義な研究である点が評価されました。また的確な質疑応答ができていたことも評価されました。
2021年度北海道支部大会 口頭発表・ポスター発表審査結果
2021年度北海道支部大会 口頭発表・ポスター発表審査結果
一般部門
■ 審査概要
一般部門は口頭発表1件、ポスター発表2件の発表がありました。
着眼点、問題意識、社会性、実用性・応用性、適時性等の観点から審査を行いました。
■ 全体的な講評
今年度は、市街地内の街路樹の景観評価に関するテーマ、沿道の草本管理手法に関するテーマ、コロナ禍における公園運営に関するテーマなど、みどりの管理・運営にかかわる研究発表がありました。審査の結果、優れた発表と評価された1件にポスター発表優秀賞を授与します。
ポスター発表優秀賞(1件)
大工 秀樹(札幌開発建設部 国営滝野すずらん丘陵公園事務所)、ほか3名
「国営滝野すずらん丘陵公園のコロナ禍における管理運営について」
コロナ禍における公園の管理運営に関するテーマ発表です。
昨年2月からの緊急事態宣言の発令・解除の動きに合わせ、利用者の受け入れ対応をどのように行ってきたのか時系列にまとめた上で、入園者数の変動を把握しています。さらにモニタリング調査を通じてコロナ禍前後の来園者属性(年齢、集団、居住地)や満足度の変化を解明し、コロナ禍における公園運営のあり方について考察しています。
研究テーマ設定は適時性が高く、かつ研究成果は今後の公園運営に広く援用しうる実用性・応用性の高い知見を有しており、優秀賞にふさわしい発表と評価されます。
学生部門
■審査概要
- 学生の口頭発表は6件,ポスター発表は24件の応募がありました。
- 「新規性」「論理性」「表現力」「質疑応答」の4点について審査員7名(口頭発表3名,ポスター発表4名)による審査を行いました。
■全体的な講評
・口頭発表:
新規性や独創性に富んだ意欲的な研究が多く,造園学の発展に寄与できる発表でした。今年度は,昨年度に引き続きインターネットを介した口頭発表セッションとなりましたが,多くの学生が,はきはきとしたプレゼンテーションを行っていたことが印象的でした。
今年度は,総合的に優れていると判断した発表は残念ながらありませんでしたが,着眼点,論理性や質疑応答が優れていた2件に口頭発表奨励賞を授与します。
・ポスター発表:
今年度のポスター発表は,事前審査としてWebサイト上でのファイル掲載とコメントの書き込みによる質疑応答を実施し,加えて大会当日のオンライン発表の二段階で実施しました。大学での演習課題や卒業研究の中間報告が大半を占めましたが,地域課題や新たな社会ニーズに着目し取り組んでいるもの,感性豊かな発想を生かして意欲的に取り組んでいるものがみられ,今後の展開に期待が持てる発表が多い印象でした。
以上を踏まえ,特に表現力と質疑応答が高評価で,総合的に優れていると判断した2名にポスター発表優秀賞,着眼点及び今後の発展に期待が寄せられた2名にポスター発表奨励賞を授与します。
口頭発表奨励賞(2名)
伊藤 瑠海(いとう るみ)さん(北海道大学大学院農学院)ほか5名
「COVID-19の流行が国立公園利用者の混雑感に与える影響」
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)に関する意識の差異が,観光地での混雑感に及ぼす影響を明らかにしようとした研究です。きわめて話題性が高い研究テーマであり,ウェブと現地の双方でアンケート調査に取り組んで優れた分析を行っていたこと及び明快で的確な質疑応答ができていたことなどが高く評価されました。
千葉 利久(ちば りく)さん(北海道大学大学院農学院)ほか1名
「野鳥への餌付けが人と野鳥との距離に及ぼす影響」
野鳥が人間に対して保つ距離に着目し,緑地での餌付けが野鳥の行動に及ぼす影響を明らかにしようとした研究です。優れた着眼点があり,繰り返しフィールドワークを行ってデータを収集していたこと,提示された図表が理解されやすいように工夫されていたこと及び的確な質疑応答ができていたことなどが高く評価されました。
ポスター発表優秀賞(2名)
能戸 紫月(のと しづき)さん(札幌市立大学デザイン学部)
「der wald」
直感的に理解しやすいレイアウト構成になっており,童話をモチーフにした遊歩道のアイディア,絵本のような描画のタッチも含め,ポスターとしての訴求力,構成力が高く評価されました。またWeb上での事前審査,オンラインでの当日審査ともに適切な質疑応答ができており,ポスター発表としての総合的なバランスが高く評価されました。
葛西 芳枝(かさい はなえ)さん(室蘭工業大学工学部)
「高校生の地域に対する意識変化を促す地域課題解決型学習の方向性に関する研究」
改めて地域を見直す視点,広範な課題に対して具体的な取組みイメージが見出しやすかった点が評価されました。またポスターとしてのレイアウト構成も分かりやすく整理されており,卒業研究の中間報告ということもありますが,有意義な発展性を感じられるテーマと,ポスターとしての表現力,的確な質疑応答が高く評価されました。
ポスター発表奨励賞(2名)
来田 玲子(くるた れいこ)さん(札幌市立大学デザイン学部)
「憶えゆく森 ー心は想う、身体は感じるー」
独創性のある世界観がポスターとして丁寧にまとめられていました。時の流れや記憶といったコンセプトが絵本のような描画のタッチにより表現され,遊歩道で展開されるそれぞれのシーンの理解を深めています。質疑応答についても的確に回答されており,ポスターの表現力とともに評価されました。
池田 瞬哉(いけだ しゅんすけ)さん(北海道教育大学(函館校)国際地域学科)ほか2名
「路面間隙に海崖生植物群落は成立するか?」
海崖生植物を含む海岸植物の多くは海岸という特異な環境に生育するため,各都道府県のレッドデータブックに記載されることも多く,このような希少な植物を保全する目的で,人工構造物や路面間隙が生育地となりうるのかという問いに対して,調査・解析をした有意義な研究である点が評価されました。また的確な質疑応答ができていたことも評価されました。
支部大会参加者へ:「16日のZOOM接続先」等について
支部大会参加者の方々
支部大会特設サイト内に以下が掲載されてますのでご確認下さい。
1)要旨集
2)16日のZoom接続先(ポスター発表のオンライン公開中)
見学会「アイヌ文化のランドスケープを訪ねて」のご案内
見学会「アイヌ文化のランドスケープを訪ねて」のご案内
日時:2021年11月6日(土)8:30(札幌駅集合)~18:00頃(札幌駅解散)
見学先(予定):民族共生象徴空間(白老町)、重要文化的景観(平取町)、平取町立二風谷アイヌ文化博物館
主催:日本造園学会北海道支部
協力(予定):アイヌ民族文化財団、平取町教育委員会
参加定員:25名(申込先着順)
参加費:(施設入場料を含みます)
- 日本造園学会会員3600円
- 一般(学会員以外)4600円
- 学生(学会員以外)3600円
*昼食はウポポイ(民族共生象徴空間)園内レストラン、フードコート等で各自適宜お取り願います。
ご案内
ウポポイ(民族共生象徴空間)は、アイヌの歴史・文化を学び伝えるナショナルセンターとして、長い歴史と自然の中で培われてきたアイヌ文化をさまざまな角度から伝承・共有するとともに、人々が互いに尊重し共生する社会のシンボルとして、また、国内外、世代を問わず、アイヌの世界観、自然観等を学ぶことができるよう、2020年に白老町に開設されました。
一方、2007年に重要文化的景観に選定された「アイヌの伝統と近代の開拓による沙流川流域の文化的景観」は、アイヌ文化の諸要素及びアイヌ固有の信仰や自然観を現在にまでとどめながら、近代開拓期以降の農林・畜産業に伴う土地利用がその上に展開することによって形成された重層性が示す貴重な文化的景観です。平取町立二風谷アイヌ文化博物館では、沙流川流域のアイヌ文化を学ぶための標識的な資料として、重要文化的景観にも選定されたチセ群のほか、アイヌの民具、視聴覚資料、関係図書等が納められています。
このうち、ウポポイ(民族共生象徴空間)については、2020年度日本造園学会北海道支部大会『研究・事例報告発表要旨/会報』において特集され、アイヌ民族文化財団の堀江純子氏に「ウポポイとアイヌの有用植物」と題して、寄稿いただきました。
今回の見学会では、堀江純子氏より「ウポポイとアイヌの有用植物」について、ウポポイ現地でレクチャーいただくとともに、平取町では平取町立二風谷アイヌ文化博物館館長の長田佳宏氏より「アイヌの伝統と近代の開拓による沙流川流域の文化的景観」などについて解説いただくことを計画しています。アイヌ文化やこれを育むランドスケープに関心のある皆さまのご参加をお待ちします。
レクチャー講師(予定):
堀江純子氏(アイヌ民族文化財団)
長田佳宏氏(平取町教育委員会)
コーディネート及び問い合わせ先:
太田広(日本造園学会北海道支部運営委員会)
oota-h8911【@】ceri.go.jp
*【@】は半角@に変更して下さい。
参加申込方法:
「2021年11月3日(水)18:00までに、「専用サイト」からお申し込み願います。申込受け付け及び参加費の決済(クレジットカード払いまたはコンビニ/ATM払い)は、イベント管理システムPeatixを利用します。2021年10月20日(水)より日本造園学会会員から先行受付を開始します。」
参加者の皆さまはPeatixが発行するチケット(参加券)を印刷してお集まり願います。集合場所等の詳細は前日までに参加者の皆さまに電子メールでご案内する予定です。
新型コロナウイルス感染対策について:
- バス内でのソーシャル・ディスタンス確保のため、見学会参加定員をバス定員の半分25名とします。
- 37.5度以上の発熱など風邪症状がある場合は参加をお控え下さい。
- バス内での会話は最小限とし、大声での会話はお控えください。
- マスク着用の徹底をお願います。
- 手指衛生の徹底をお願います。
中止の連絡と参加費の返金:
- 新型コロナウイルス感染拡大等、主催者の判断により、見学会を中止する場合があります。中止の場合には、前日までにイベント管理システムPeatixでお知らせするとともに、参加者に電子メールで連絡します。
- 主催者の判断により中止の場合は、参加費よりPeatix手数料を差し引いた金額を返金しますので予めご了承願います。
- 参加者の都合により不参加の場合は返金しませんのでご了承願います。
*主催者では国内旅行傷害保険等は加入しておりません。必要な方は各自加入をご検討願います。
研究会「“生態学的混播・混植法”による森づくりとその実践」開催報告
研究会「“生態学的混播・混植法”による森づくりとその実践」開催報告
日時:2021年9月29日(水)18:00〜19:00(オンライン)
話題提供:藤浪武史氏(国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所)
モデレータ:太田広((公社)日本造園学会北海道支部)
北海道支部が主催する研究会「“生態学的混播・混植法”による森づくりとその実践」が9月29日(水)18時より、オンラインで行われました。参加者は、大学・研究機関、ランドスケープ・コンサルタントなど23名で、東京、大阪など北海道外からの参加もありました。
“生態学的混播・混植法”は、噴火による荒廃地に先駆性や遷移中後期性の樹種が一斉に侵入することを参考に、北海道科学大学や寒地土木研究所などで開発された、自然に近い樹林の再生を目的とした実践的な森づくりの方法です。
研究会では、“混播・混植法”で植樹された地区のモニタリングやデータの解析を進めている、寒地土木研究所の藤浪氏より、これまでの植樹活動の実践と樹林形成の概要について話題提供していただきました。
また、本研究会に参加された“混播・混植法”の共同開発者でもある岡村俊邦氏(北海道科学大学名誉教授)からは、技術開発に着手した1991年当時は、播種を中心に実施していたことや、樹木生長の追跡調査の実施、植樹基盤の簡素化など常にPDCAサイクルを回し、改良を加えてきたことなどが紹介されました。
参加者からは、植生遷移までを計画して植樹を行っているのか等の質問があり、これに対し、二次遷移を対象とし、多様な光環境により植生遷移が起こるはずだとの考えで実施していること、また、植樹する樹種の中には針葉樹も含まれており、針広混交林の形成につながるとの考えが示されました。このほかにも、シカ食害対策についてや、積雪が樹木の生長に与える影響、植樹した地区別の生長の違いなどについて活発な質疑が行われ、予定の1時間を超えて、有意義な研究会となりました。
今後も、北海道支部では、ランドスケープ科学、造園学に関連するテーマを毎回設定して、研究会を企画していきたいと考えています。なお、この研究会は造園CPDの認定プログラムとして行われました。
研究会「“生態学的混播・混植法”による森づくりとその実践」開催報告
研究会「“生態学的混播・混植法”による森づくりとその実践」開催報告
日時:2021年9月29日(水)18:00〜19:00(オンライン)
話題提供:藤浪武史氏(国立研究開発法人土木研究所寒地土木研究所)
モデレータ:太田広((公社)日本造園学会北海道支部)
北海道支部が主催する研究会「“生態学的混播・混植法”による森づくりとその実践」が9月29日(水)18時より、オンラインで行われました。参加者は、大学・研究機関、ランドスケープ・コンサルタントなど23名で、東京、大阪など北海道外からの参加もありました。
“生態学的混播・混植法”は、噴火による荒廃地に先駆性や遷移中後期性の樹種が一斉に侵入することを参考に、北海道科学大学や寒地土木研究所などで開発された、自然に近い樹林の再生を目的とした実践的な森づくりの方法です。
研究会では、“混播・混植法”で植樹された地区のモニタリングやデータの解析を進めている、寒地土木研究所の藤浪氏より、これまでの植樹活動の実践と樹林形成の概要について話題提供していただきました。
また、本研究会に参加された“混播・混植法”の共同開発者でもある岡村俊邦氏(北海道科学大学名誉教授)からは、技術開発に着手した1991年当時は、播種を中心に実施していたことや、樹木生長の追跡調査の実施、植樹基盤の簡素化など常にPDCAサイクルを回し、改良を加えてきたことなどが紹介されました。
参加者からは、植生遷移までを計画して植樹を行っているのか等の質問があり、これに対し、二次遷移を対象とし、多様な光環境により植生遷移が起こるはずだとの考えで実施していること、また、植樹する樹種の中には針葉樹も含まれており、針広混交林の形成につながるとの考えが示されました。このほかにも、シカ食害対策についてや、積雪が樹木の生長に与える影響、植樹した地区別の生長の違いなどについて活発な質疑が行われ、予定の1時間を超えて、有意義な研究会となりました。
今後も、北海道支部では、ランドスケープ科学、造園学に関連するテーマを毎回設定して、研究会を企画していきたいと考えています。なお、この研究会は造園CPDの認定プログラムとして行われました。
見学会「アイヌ文化のランドスケープを訪ねて」のご案内
見学会「アイヌ文化のランドスケープを訪ねて」のご案内
日時:2021年11月6日(土)8:30(札幌駅集合)~18:00頃(札幌駅解散)
見学先(予定):民族共生象徴空間(白老町)、重要文化的景観(平取町)、平取町立二風谷アイヌ文化博物館
主催:日本造園学会北海道支部
協力(予定):アイヌ民族文化財団、平取町教育委員会
参加定員:25名(申込先着順)
参加費:(施設入場料を含みます)
- 日本造園学会会員3600円
- 一般(学会員以外)4600円
- 学生(学会員以外)3600円
*昼食はウポポイ(民族共生象徴空間)園内レストラン、フードコート等で各自適宜お取り願います。
ご案内
ウポポイ(民族共生象徴空間)は、アイヌの歴史・文化を学び伝えるナショナルセンターとして、長い歴史と自然の中で培われてきたアイヌ文化をさまざまな角度から伝承・共有するとともに、人々が互いに尊重し共生する社会のシンボルとして、また、国内外、世代を問わず、アイヌの世界観、自然観等を学ぶことができるよう、2020年に白老町に開設されました。
一方、2007年に重要文化的景観に選定された「アイヌの伝統と近代の開拓による沙流川流域の文化的景観」は、アイヌ文化の諸要素及びアイヌ固有の信仰や自然観を現在にまでとどめながら、近代開拓期以降の農林・畜産業に伴う土地利用がその上に展開することによって形成された重層性が示す貴重な文化的景観です。平取町立二風谷アイヌ文化博物館では、沙流川流域のアイヌ文化を学ぶための標識的な資料として、重要文化的景観にも選定されたチセ群のほか、アイヌの民具、視聴覚資料、関係図書等が納められています。
このうち、ウポポイ(民族共生象徴空間)については、2020年度日本造園学会北海道支部大会『研究・事例報告発表要旨/会報』において特集され、アイヌ民族文化財団の堀江純子氏に「ウポポイとアイヌの有用植物」と題して、寄稿いただきました。
今回の見学会では、堀江純子氏より「ウポポイとアイヌの有用植物」について、ウポポイ現地でレクチャーいただくとともに、平取町では平取町立二風谷アイヌ文化博物館館長の長田佳宏氏より「アイヌの伝統と近代の開拓による沙流川流域の文化的景観」などについて解説いただくことを計画しています。アイヌ文化やこれを育むランドスケープに関心のある皆さまのご参加をお待ちします。
レクチャー講師(予定):
堀江純子氏(アイヌ民族文化財団)
長田佳宏氏(平取町教育委員会)
コーディネート及び問い合わせ先:
太田広(日本造園学会北海道支部運営委員会)
oota-h8911【@】ceri.go.jp
*【@】は半角@に変更して下さい。
参加申込方法:
「2021年11月3日(水)18:00までに、「専用サイト」からお申し込み願います。申込受け付け及び参加費の決済(クレジットカード払いまたはコンビニ/ATM払い)は、イベント管理システムPeatixを利用します。2021年10月20日(水)より日本造園学会会員から先行受付を開始します。」
参加者の皆さまはPeatixが発行するチケット(参加券)を印刷してお集まり願います。集合場所等の詳細は前日までに参加者の皆さまに電子メールでご案内する予定です。
新型コロナウイルス感染対策について:
- バス内でのソーシャル・ディスタンス確保のため、見学会参加定員をバス定員の半分25名とします。
- 37.5度以上の発熱など風邪症状がある場合は参加をお控え下さい。
- バス内での会話は最小限とし、大声での会話はお控えください。
- マスク着用の徹底をお願います。
- 手指衛生の徹底をお願います。
中止の連絡と参加費の返金:
- 新型コロナウイルス感染拡大等、主催者の判断により、見学会を中止する場合があります。中止の場合には、前日までにイベント管理システムPeatixでお知らせするとともに、参加者に電子メールで連絡します。
- 主催者の判断により中止の場合は、参加費よりPeatix手数料を差し引いた金額を返金しますので予めご了承願います。
- 参加者の都合により不参加の場合は返金しませんのでご了承願います。
*主催者では国内旅行傷害保険等は加入しておりません。必要な方は各自加入をご検討願います。
107 プラタナスからの樹種転換は街並みをどう変えるか
注意! 発表資料を無断でコピー、転載しないでください。スクリーンショットもご遠慮ください。
106 大規模停電を伴う災害時における都市公園の水道使用状況と周辺環境に関する研究
注意! 発表資料を無断でコピー、転載しないでください。スクリーンショットもご遠慮ください。