203der wald

能戸 紫月(札幌市立大学デザイン学部)

要旨:グリム童話では「森」は「walt」と書かれ、この言葉には人が入り込めない境界という意味があります。グリム童話の多くの物語で森が舞台となり、森は真逆の性質が入り混じった不思議な空間です。森は誰もが主人公になり新しい物語が起こる「日常と異世界の境界」であり、善い生き物と悪い生き物の両極端が共存する「善と悪の境界」であり、試練を乗り越え新しい自分に生まれ変わる「死と再生の境界」です。そんな不思議で人の入り込めない境界であるメルヒェンの森を体験する野外美術館の提案です。

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203der wald」への11件のフィードバック

  1. 森が異界と繋がっているとするのは多くの社会で見られるので、なぜドイツにこだわったのかを明確にするとさらに良い。

    • ご指摘ありがとうございます。森が異界であるという認識は多くの物語でみられる現象だと思います。しかし、「森」というものを知り森が異界であるということを最初に知ったきっかけが多くの人が小さな頃に絵本で読んで触れたことのあるグリム童話であると考えています。そして今回のコンセプトは自分の物語を見つける場所であるので物語の原点としてグリム童話を採用しました。そのため何故ドイツにこだわったのかというよりはグリム童話にこだわったためドイツの世界観が今回の提案に現れたというような形です。

  2. 森を「日常と異世界」「善と悪」「死と再生」の場としてメイキングされたコンセプトには引きずり込まれました。
    ですが、①から⑤に刻まれたフェーズとコンセプトの関連性と野外美術館としての役割が理解しにくいのが残念でした。

    • ご意見ありがとうございます。ご指摘の通りポスターでなかなか作品との関連性など詳しく書けていない部分が多いのでよければこちらで説明させてください。
      1番の作品ですが、この場所は美術館の入り口にあるのですが、物語の入り口にもなります。フレーミング効果としてドアを持ち入り日常と異世界をの境界を表現しました。
      2番の作品は「森の中のばあさん」という物語で魔女に姿を変えられていた王子様をモチーフにしました。木なのか人なのか生きているのか死んでいるのかわからない曖昧さが境界を表現しています。
      3番の作品は「ヘンゼルとグレーテル」ではヘンゼルとグレーテルが困っている時に二人はよく神様が助けてくれるという言葉で慰め合うのですが、結局神様が二人を助けてくれることはありませんでした。しかし他の物語では神様が助けてくれる物語もあるため、神様は普段は寝ていてたまたま起きている時だけ助けてくれるきまぐれなのではないかという私の解釈ですが、神様はいるけれど助けるか助けないかはわからないという気分の差を境界として表現しました。
      4番は1つの物語のモチーフではなくグリム童話でよく出てくる小鳥と芸術の森美術館に音楽を楽しむアートホールがあることなどここならではの作品になっています。周辺環境を意識した日常と小鳥がピアノになったという非日常感を表現しています。
      5番は「ラプンツェル」の主人公ラプンツェルが住む塔や「三つの言葉」で出てくる一晩過ごした塔などをモチーフにしています。多くの物語に塔が登場しますが、良い人、悪い人どちらの住処ともなっています。これが善と悪の境界になっています。
      また野外美術館としての役割についてですが、野外美術館ならではの役割であり最大の魅力というのは変化があることが分かるということだと思っています。そのことを常に変化しづつける物語と関連づけて鑑賞者に変化を意識させることが今回の提案の野外美術館であるからこその役割になっていると思います。

  3. なるほど!良く分かりました。
    丁寧な説明をいただき、ありがとうございます。
    やはりポスターセッションは対面で作者の意図が確認できるとありがたいですね。コロナの収束を祈るばかりです。

  4. このところ、子どもの絵本を改めて読むようになり、童話に描かれる森と、森が紡ぎ出す童話の関係がとても面白いと考えていたので、このテーマにも大変共感しました。福原さんの質問に回答されていた、野外美術館ならではの変化と変化し続ける物語の関係が表現されると更によいと感じました。

    • ご意見ありがとうございました。
      変化についてですが、子供の頃に読んだ絵本を改めて読むと全く違う見方ができて驚くと思うんですよね。変に勘繰って見てしまうからなのではないかと思いますが笑
      また森も同じで野外なので天気にも左右されるし季節によっても、年月によっても全く違う森に見えると思います。
      この美術館も来る度に森が変化していたり作品の感じ方が変わったりその人の人生(物語)も変化しているというのが物語と野外美術館の変化の楽しみ方なのではないかと思います。

  5. 北海道大学農学部3年の上杉と申します。

    幼い頃、多くの人が読んだグリム童話の世界を、絵本という平面から実体として体感できるというコンセプトに惹かれました。美しいだけではない、ファンタジーならではの怖い表現が、悪や死について考えさせるものになっていると感じました。

    ただの一感想なので返信不要です。
    もし実現されたら、是非訪れてみたいです。

    • ご感想ありがとうございます。返信不要とのことでしたが、ファンタジーだからこそ伝えられる悪や死があるのではないかと考えていたので、とても嬉しい感想でした。
      ありがとうございます。

    • コメントありがとうございます。
      URL見させていただきました。ドイツの森は本当に魅力的で私もいつか必ず訪れてみたいと思っているので、留学されていたというのが本当に羨ましいです!
      ドイツ語を今回初めて使用したのですが、大文字なんですね…勉強不足でした。ご指摘ありがとうございます。

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